近年は、自宅で水草水槽(ネイチャーアクアリウム)を楽しむ人が増えています。
ホームセンターでも色々な種類の水草が販売されていますが、水草水槽でよく誤解されるのが「水中葉」と「水上葉」の違いです。
今回はこの違いにスポットライトを当ててみましょう。
水中葉、水上葉とは?
水中葉と水上葉を全く別の水草と思っている人は少なくありません。
実は水の中だけで生息している水草は少なく、数多くの水草は水陸両用になっています。
例えば、アヌビアスやロタラ、パールグラスなど多くの水草は水中でも水上でも生きられます。
これらの水草は水面から水上へ伸びてしまった場合、水の外でも生きられるように体の組織を作り変えるのです。
その水陸両用の植物が水上で生活するようになったものが水上葉であり、水中での生息に適したものを水中葉と呼びます。
水上葉の特徴
店舗で販売されている水草の多くは水上葉です。つまり、観葉植物と同様に水上で育成されています。
全ての水草が水上で育成できるわけではありませんが、多くの水草は水上での育成が可能です。
実は、水上葉と水中葉が別の水草と誤解される原因が、同じ水草であるのに、水上で育成された場合と水中で育成された場合で、見た目の大きく変わるものが多いことです。
同じ水草とは思えないほど外観が変わります。
水上葉のメリット
水上葉の主なメリットとしては以下のことが挙げられます。
- 陽の光を浴びて育つため、比較的強く育ちます。
- 栽培がしやすくなります。
- スネール(貝) などがいる水槽内の水中葉と比べて、リスクが少なくなります。
- フィルターやCo2添加装置などが不要なため、費用をかけずに済みます。
- 販売価格が安くなっています。
- 水中葉に比べ、葉の生え変わりなどで水槽に順応できる性質を持っています。
水上葉のデメリット
水上葉のデメリットとしては以下があります。
- 水中葉に生え変わるのに時間がかかります。
- 枯れ葉の除去やトリミング、植え替えが必須となります。
- 葉に虫食いの発生することが少なくありません。
水上葉から水中葉への成長
水上葉から水中葉へ成長する水草としては、水上部分が枯れて水中葉が出てくるタイプと、水上葉の先から水中葉が出てきたり、脇芽として水中葉が出たりするタイプなど、いろんな過程があります。
なお、水上葉は水中に適した葉ではないのでいずれ枯れていきます。水上葉が枯れる前に水中葉が成長したら、水中葉の部分をトリミングして植え直すことが必要です。
水中葉のメリット
一方、水中葉の主なメリットとしては以下のことが挙げられます。
- 植えた後は枯れにくい特徴があります。
- 植え込んだ後は成長が早いです。
水中葉のデメリット
水中葉のデメリットとしては以下があります。
- 販売価格が高くなっています。
- フィルターやCo2添加装置などの備品費がかかります。
変化への対応
水上葉を水中葉化することは可能ですが、水上葉はこれまで太陽光を浴びて空気中から二酸化炭素を吸収していた葉です。
そんな水上葉が水中に入ると、太陽光が人工照明に変わり、空気中からの二酸化炭素の吸収が水中からの吸収となります。
これだけの環境の変化に耐えられない、適応できない葉もあります。